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解決事例

育児短時間勤務制度の柔軟化を実現

事案の概要

「フルタイム復帰はまだ難しいが、特定の曜日だけなら長く働ける」という育児中のエンジニアから相談を受けていた総務担当者様。
しかし、当社の育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度は、「16時間」を前提としているため、週や曜日によって勤務時間を調整したいという現場ニーズに対応できず、総務担当者様は制度運用に悩まれていました。

法令上の整理

育児・介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者に対し、短時間勤務制度(原則16時間)を設けることが事業主の義務とされています。
この制度は、就業規則等に明記し、労働者が希望すれば利用できる状態にしておく必要があります。

ここでいう「1日の所定労働時間を原則6時間」とは、必ず6時間ちょうどとしなければならないという意味ではありません
通常の所定労働時間が7時間45分などの事業所においては、短縮後の所定労働時間を5時間45分~6時間の範囲で設定することも許容される趣旨です。

また、16時間の短時間勤務制度を基本として確保した上であれば、これに加えて、

・1日5時間または7時間とする措置

・所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置

・週休3日とする措置

など、労働者が就業しながら子を養育しやすくするための追加的な措置を設けることが望ましいとされています。

一方で、所定労働時間が8時間未満の場合に、さらに短縮した勤務時間を設けることまでは、法律上義務付けられていません。
この点は、法令上の「義務」と、企業の裁量による実務上の「配慮」を区別して考える必要があります。

当事務所の提案

上記の法令整理を踏まえ、本件では「法令上の義務を確実に満たしつつ、実務上の柔軟性を確保すること」を重視して制度設計を行いました。

具体的には、まず育児・介護休業法が求める最低基準として、短時間勤務制度(原則16時間)を就業規則に明確に規定し、労働者が実質的に選択できる状態を確保することを前提としました。

そのうえで、プロジェクト単位で業務が進むIT開発の業務特性や、本人の「曜日によって働ける時間に差がある」という事情を踏まえ、週の所定労働時間を短縮する制度(例:週22.5時間)を選択肢として追加することを提案しました。

このような制度設計は、法定の短時間勤務制度を下回るものではなく、あくまで企業独自の任意制度として追加するものであるため、法令上も問題はありません。

また、勤務時間・賃金の変更に伴い、社会保険の標準報酬月額が変更となる可能性があることから、制度導入にあたっては、保険料負担や各種給付への影響について事前に説明を行うことが重要とお伝えしました。

提案のポイント

・法定の短時間勤務制度(原則1日6時間)を就業規則に明確に規定する。

・そのうえで、企業独自の選択肢として、週の所定労働時間を短縮する制度(例:週22.5時間)を追加

・制度変更に伴う社会保険・賃金への影響について、本人に十分な説明を行う

このように、法令で求められる最低基準を満たした上であれば、柔軟な勤務体系を設けることは可能です。

結果と効果

適法な形で就業規則を改定し、柔軟な勤務体系を導入したことで、対象となった従業員は、家庭の事情に合わせた働き方でキャリアを継続することができました。
会社としても、専門性の高い人材を確保し続けることができ、職場全体の「働きやすさ」への評価向上につながりました。

社労士所感

育児・介護休業法は、企業にとっての最低限守るべき基準を定めた法律です。
義務ではない配慮までを一律に「やらなければならない」と捉える必要はありませんが、線引きを正しく理解したうえで、自社に合った制度設計を行うことが、結果として人材定着や企業価値の向上につながります。

法令を「制限」として捉えるのではなく、守るべきところを守った上で、どう活かすか、その整理こそが社労士の役割だと考えます。

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